2010-01-01から1年間の記事一覧

驚愕!新「国共合作」的台湾

台湾訪問は、12年ぶり3度目だ。 20年前に初めて訪れた時は、スラム街が広がるマニラに住んでいたせいもあり、日本系デパートや高級品を売る店が並ぶ台北の中心街はまぶしく見えた。ところが今回は台北のビルが古ぼけてくすんでみえた。昨年、訪ねた北京…

台湾で流れを変える

またズルズル、ブログの空白が続いている。 いつもは「書く意欲」が欠乏して空白が続くことが多い。しかし、今回は、千葉市美術館の「田中一村」展での感動や、新潟・古町のシャッター商店街化の衝撃、「小さなおうち」の読後感などを字にしたいと思いつつ、…

「20世紀少年」、その「終末」論など

この年になって恥ずかしいが、夏休みの一日、マンキツにこもって、「20世紀少年」22巻を読了した。なんだかまだ頭がボーッとしている。 この時点で思いついた断片的感想を並べてみる。◆終盤の失速 多くの読者が指摘するように、確かに「終わり」は成功と…

開高健と人格剥離

猛暑のある日、突然思い立って茅ケ崎にある開高健記念館を訪ねた。 開高健を最初に読んだのは、高校時代受講していたZ会添削の国語の例文だった。 公園で、水と一緒に生きたカエルをのみこんでは吐き出して、通行人からカネをもらう男を描写した文章だった…

病としての「占有」

人類には700万年の歴史がありますが、その大半の時間、飢餓と不足と欠乏にさいなまれていました。そのため足るを知るリミッターはほとんど必要なかった。だから(人間は)現在、どんなものでも必要以上に占有しがちになる。土地を占有し、お金を占有し、…

コガネムシと水アメ

童謡「黄金むし」。野口雨情作詞、中山晋平作曲。しみじみ歌詞を眺めるとなんともふしぎ。 黄金むしは金持ちだ 金蔵建てた蔵建てた 飴屋で水飴買ってきた 小池光(10年8月15日付け日経朝刊) コガネムシがアメ屋で水アメ買った?このくだりは知らなかった。…

「迷う鷗外」

森鴎外の続き。 鹿島茂がドイツ留学時代の森鷗外による「過適合」について指摘している。 優れた「学習機械」である鴎外は、日本人留学生として「学ぶべきこと」はもちろんのこと、日本人留学生としては「学ぶ必要のないこと」まで学んでしまい、この過適合…

鴎外の「妄想」

平日の午前中、ぽっかりと半日休みがとれた。題名に魅かれ、未読だった「妄想」(森鴎外)を読みだした。 生まれてから今日まで、自分は何をしているのか。始終何者かにムチ打たれ駆られているように学問ということに齷齪(あくせく)している。しかし、自分…

偽装としての武士道

毎日新聞朝刊(8月8日付け)に見事な書評があった。田中優子による「日本政治思想史―十七〜十九世紀」(渡辺浩、東京大学出版会)の評だ。 儒学とは何であったか。「儒学は、人類がこれまでに築いた、おそらく最強の体系的イデオロギーである」という見解にう…

フロイトの「起源批判」

エドワード・W・サイードにはある時期までみずからを、心ならずも反英闘争に関わることになってしまった若き日のスウィフトに仮託していたところがあった。最晩年にはそれが、すこしずつフロイトへ移っていった。この高名な精神分析家は、絶望的な癌を患い…

異国はほんまに侵略者じゃったんか

「薩摩じゃ、長州じゃと仲間内でケンカしてる場合じゃないぜよ。日本人として一つにならんと、異国に侵略されてしまうぞ」 最近の「龍馬伝」では、福山龍馬が毎回、同じセリフをどなっている。国民の大多数のみなさまには悪いけれど、天邪鬼の当方としては、…

「ノンビリ」には勇気と知恵

森さんは大学定年後、ますます忙しくなり、マスコミ、ジャーナリズムに引っ張りだこだった。 どんなに忙しくても、森さんはノンビリしていた。ノンビリするには勇気がいる。我慢がいる。とりわけ知恵がいる。というのは、世の中の構造が、せかして、動かして…

「踏み絵」?板切れじゃん

(「踏み絵」について)板切れにキリストだかマリアだか知らないが、その種の像を描いて、それを踏めという。私なら踏む。だってただの板切れだからである。ただの板切れを踏む、踏まない、そんなことにこだわるやつは、皆の迷惑だ。狭い島国なんだから、お…

死の不可知性から逃げない

本日は恥ずかしながら、風船子の生誕記念日。しかし、この年になると、「誕生日、冥土の旅の一里塚」といった心境だ。つまり、「誕生と死」はワンセット。ということで、本日は、小生が深く共感した「あの世」論を紹介してみたい。 出典は、「他界からのまな…

難事業、フレンチレストラン

本日は「食オンチ」の風船子には珍しく、料理のお話です。知らない世界を知った驚きがあったので紹介します。 フレンチの欠点は、暗黙のうちに「差別こそテクニック」にしてしまったことだと思う。グルメなお金持ちの客ほど手厚くサービスし、そうではなさそ…

神も結局、人間ではないのか

「神は結局、人間ではないのか」。既成宗教に対する批判の基本である。柄谷は、「超越的他者」として共同体の外部にあると見えるものも、結局、内部に属していると主張し、宗教批判を展開する。文献は、「探究Ⅱ」(柄谷行人、講談社学術文庫)。 「他者」と…

「由緒正しき貧乏人」対落合博満

河出書房新社が「KAWADE夢ムック、文藝別冊」という人物シリーズを出している。このなかの「本田靖春 戦後を追い続けたジャーナリスト」を購入した。 以下は、同書所収の「名文家は話の達人でもあった」(渡瀬昌彦)からの引用。渡瀬が編集者として、…

シュール!米国の科学的異民族理解

上の写真、何を撮影した写真だかわかりますか? 蓑を着た男の後ろ姿、その横には碁盤がある。目を上にやると、束帯姿の平安貴族が笏(しゃく)を持って座っている。こちら向きで琴をひいている和服の女性は、よくみると瞳がなく白眼をむき、時代劇ホラー映画…

真夏、眩む

外に出たとたんに、まばゆいばかりの真夏の日差しで目がくらむ。暑さは体にこたえるが、同時に、真っ白な陽光は、疲れを知らずに走り回っていた子供時代の夏休みを思い出させてくれる。 昨日は仕事で信州・別所温泉に行った。上田電鉄別所線の一両編成に乗る…

左翼的知性の復権

毎回、「おかしくて、やがて、悲しき」となる「SIGHT」所収の内田樹と高橋源一郎の漫談(司会は渋谷陽一)です。今回のタイトルは、「鳩山さんが首相で、本当によかった」。 (高橋)政権交代って面白いから、代えてみよう、みたいな。で、ついに政権交…

江田幹事長、「みんなの党」を語る

参議院選挙が終わった。「自民第一党、民主大敗」の結果は、ある程度予想されてはいたが、それなりの驚きはある。 昨年の政権交代以来、国政選挙と世論が以前よりも直結している印象を受ける。民主主義の原則からはもちろん悪いことではない。ただ、同時にあ…

英大衆紙のワールドカップ評

この年になると、時差ぼけの症状が出るのに時差が生じる。まだ、なんだかボーッとしている。加えて千客万来、雑事殺到で、ブログ更新が滞っていた。 さて、今回の出張では、古巣ロンドンはヒースロー空港にトランジットのために計3時間いただけで、まったく…

なんとか無事、ヤマトへ帰還

一昨日の午後、ロンドンー成田の機中泊を最後に6日間世界一周の旅を終えました。飛行時間は計35時間、列車にも1時間乗りました。 帰国直後は、「予想よりは疲れなかった。もう一周して来いといわれれば、やるぜ」というのが実感で、翌朝も8時過ぎにアポ…

ワールドカップとお国柄

現在地はブリュッセル。6日間世界一周のおそらく4日目。ホテルのテレビでW杯日本戦を見る。中継言語はドイツ語だったので、ドイツのテレビ局だったかもしれない。 残念な結果となったが、健闘といえるだろう。日本選手の顔がなんだかどんどん「いい顔」に…

6日間世界一周へ

あすから機中3泊を含め6日間世界一周の無謀な旅に出ます。残念ながら、W杯観戦ではありません。旅先から記事を送れるかどうか。

一人で散歩するデンマーク女王

サッカーW杯のおかげで、デンマークへの関心が高まっている。せっかくの機会なので、デンマークでのエピソードを紹介したい。 あれは6年ほど前だったか、デンマーク女王のマルグレーテ二世の会見を見物したことがある。場所は、コペンハーゲン郊外のフレデ…

ちょんまげ議員とサムライ政府

NHKの「龍馬伝」で、ようやく寺田屋が登場してきた。 寺田屋は幕末、薩摩藩の定宿であり、文久2年(1862年)には薩摩藩などの急進派とそれを止めようとした藩主側の武士が斬り合いとなり、9人の急進派が死亡した寺田屋事件の舞台となった。さらに、…

野球場でサッカー観戦

東京ドームでのサッカーW杯パブリックビューイングに行ってみた。野球場でサッカー観戦というわけだ。 いつもはスコアボードになっている電光掲示板が、この日は「日本対オランダ戦」の生中継画面になった。3塁側の内野席上部に座ったが、画面が小さくて見…

立松和平と中上健次

「遠雷」賛歌の続き。 立松和平のHPを読んでいたら、中上健次との親交についての一文があった。「遠雷」を読んだ時に「枯木灘」を想起したが、立松によると、当時「同志」と感じていた中上が書いた「枯木灘」に触発されて「遠雷」を書いたとのこと。やっぱ…

「遠雷」(立松和平)賛歌

宇都宮に行った。 昔、2時間ほど立ち寄ったことがあるだけで、事実上、初めての土地だ。宇都宮と聞いて、すぐに浮かぶものがない。駅前に並ぶ看板をみて思い出した。そうだ、「餃子の街」だった。 中心街であるオリオン通り。なんだか人通りが少ない。地元…