2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

発熱の寝床で子規を読む

インフルエンザで、おそらく20数年ぶりの「病欠」をした。病気で寝込むとなれば、やはり正岡子規だろう。 ふらつく頭で「墨汁一滴」をつまみ読みする。これは、子規の最後の病床日記で、明治34年(1901年)1月16日から7月2日まで、途中4日休ん…

ウイルス抱え「ひそやかな花園」へ

週末、突然の悪感と関節の痛みで医者に行くと、A型インフルエンザだった。今世紀最高体温となり、タミフル飲んで、ひたすら寝た。 本日はモノが読めるまでに回復。さすがに哲学系は体にこたえるのではと敬遠し、ツンドクのなかから「ひそやかな花園」(角田…

血縁軽視の日本の家制度

「論語の会」で日本のイエ制度の特異性について話題になった。 例によって、講師(こうし)いわく… 日本の「家制度」は、長子男系の世襲が原則だが、子供がいない場合、赤の他人が養子縁組で息子になれば、家督を継がせることが可能で、「家」が続いていると…

礼賛、「はじめの穴…」(井坂洋子)

書評で紹介されて気になっていた本をようやく書店で見つけた。「はじめの穴 終わりの口」(井坂洋子、幻戯書房)だ。この本は、なぜだか、ネットではなく、直接、本屋さんで買いたかった。 現代の詩人たちの作品を紹介しながら、自分史を振りかえるエッセイ…

朱子学=陽明学左派

久々に朱子の「論語集注」読書会に顔を出す。対象個所は、「公治長」。以下はコウシ(講師)曰く… 儒教では、「礼」は「道」を具現化するものとして重視されている。ただ礼は、規則ではあるが、それを破っても罰則はない。それが「法」とは違うところ。しか…

世界はモノの総和ではない、「論考」3

本日は、「論考」の二行目が対象。 1.1 The world is the totality of facts, not of things. 世界は事実の総体であり、ものの総体ではない。 野矢先生による解説を要約してみる。 机、郵便ポスト、自動車、猫…世界はモノたちで満ちている。しかし、世界はモ…

富士山、ともあれ別格なり

抜けるような冬の青空を見ていたら、急に富士山を近くで見たくなり、高速バスに乗る。 最初、遠慮がちに白い頂を見せていた霊峰だが、御殿場をすぎるとぐんぐん大きくなる。視界を富士に覆われた印象だが、カメラをのぞくと、ファインダーのなかの山の割合は…

「論考」本文に突入開始

今日から、ようやく「論理哲学論考」の本文に入って行く。 最初の一文は、たったの一行。 1.The world is all that is the case. 世界は成立していることがらの総体である。 訳文は、岩波文庫の野矢茂樹訳から。野矢の解説でこの一文の意味をさぐっていく。 …

「論理哲学論考」とじっくり、ぼちぼち

くたびれた中年会社員にとって、仕事と直接関係ない読書はどうしても、食い散らかしの雑読になりがち。これはこれで楽しいが、1冊とじっくり付き合う読書も捨てがたい。 今年は、雑読と並行して「じっくり」式にも挑戦してみたい。最初の対象に選んだのは、…

謹賀新年と暗黒物質

明けましておめでとうございます。 子供時代から、儀式一般には人為臭が鼻について冷笑的だった当方も、年末年始は主役が「時」ということもあって初詣などの関連行事には率直に参加してきた。いつもと違う時間の流れ…これも人為的であることはわかってはい…