2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

北朝鮮は中国固有の領土?

毎日新聞に興味深い記事が載っていた。 朝鮮民謡「アリラン」が中国の無形文化遺産に指定され、韓国世論が憤激している。 アリランは地方によって違う。中国が無形文化遺産にしたのは、吉林省の延辺朝鮮族自治州に伝わる「延辺アリラン」だ。しかし韓国の怒…

森崎和江と谷川雁

「日本断層論」(森崎和江・中島岳志、NHK出版新書)読了。 「インドのナカジマ」が森崎の熱心な読者とは意外だった。中島は、丁寧に森崎作品を読み込んだうえでインタビューに臨んでおり、感心した。 内容的には、森崎の思索の紹介も貴重だが、やはり「…

関口存男とは

「ことばの哲学―関口存男のこと」(池内紀、青土社)読了。 独学の語学の天才と呼ばれたドイツ語教師の伝記。著者は池内紀。一般に知られていない独学者の天才ぶりを、講談のように読ませてくれるのかと期待したが、全体的には淡々とした評伝でいささか気が…

健康人にもがん細胞が…

「がんの練習帳」(中川恵一、新潮文庫)を読む。この種の本は、情報が命だ。この本は、読みやすく、具体例も豊富だった。情報部分の要約を並べてみる。 日本人の2人に1人がガンになり、3人に1人がガンで死ぬ。ガンの半数以上は治癒するが、それでも65歳以…

纏足と朱子学

久々に「朱子学読書会」の報告です。 子曰く、「民の義を務め、鬼神を敬して之に遠ざかる。知と謂うべし」(「論語」雍也第六) 講師曰く、孔子には「あの世」はなく「この世」しかない。天国も地獄もない。ただし、日常を超えた存在を否定しているわけでも…

発見!地面写真家・東松照明

名古屋市美術館で「写真家・東松照明 全仕事」を観る。 名古屋市美に行くのは初めて。タクシーは美術館のある公園の入り口で止まった。初老の運転手さんが「いやあ、すごい人気ですね。私も孫を連れてきたいけど、行列で待つのが嫌でね」。 えっ、東松の写真…

傍観者の原罪

「ヤノマミ」(国分拓、NHK出版)読了 以前、書評紹介で取り上げた「ヤノマミ」(国分拓、NHK出版)を読了。テレビドキュメンタリー制作のため、石器時代の生活を色濃く残すアマゾンの先住民の村に150日間暮したNHKディレクターのルポだ。 ※参照…

続「マイ・バック・ページ」考

映画「マイ・バック・ページ」の続き。「ユリイカ」6月号が、この作品の監督である山下敦弘の特集を組んでいたので別の角度からの評価も紹介したい。(コンパクトにするため、正確な引用ではなく、要約した) 大澤 真幸 要するに、これは、若いジャーナリス…

おバカに騙されるおバカ

映画「マイ・バック・ページ」を観る。 全体としては、製作側の真剣さはわかるが、「戯画」の域を出ていなかった。映画というより、「よくできたテレビドラマ」という印象を受けた。 土曜の渋谷で4割程度の入り。20代、30代が客の9割ぐらいを占めてい…

コラーゲンと科学リテラシー

コラーゲン食品の幻想。 コラーゲンを摂取しても、消化作用でいったんアミノ酸に分解されるので、コラーゲンがそのまま体内に取り入れられることはない。よって、食品で取ったコラーゲンがそのまま自分の体内でコラーゲンに再合成される確率は限りなくゼロに…

死んで元気になる

新聞各紙書評欄紹介、まだ続きます。 「孤独の部屋」(パトリック・ハミルトン、新人物往来社) ロンドンはうずくまる怪物。どんな怪物でも息をせずには生きられないから、ロンドンもこっそり有害な呼吸をしている。生きていくのに必要な酸素は、郊外からの…