2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「とおせんぼ」が消えた

九州の実家で一人暮らしをしていた母が急死した。享年84歳。翌日の友人たちとの旅行に備え、美容院で髪を染めてセットし、自宅に戻って夕飯を食べ、その直後の脳出血だった。医者によると、「あっという間だったと思います」。生涯、病気知らず。結局、病…

サムライ共通語と無血開城

「コウシ曰く」シリーズです。 日本の儒者にとって、「中華と夷狄」の問題は重要。なぜなら、自分たちが夷狄に分類されているから。 これへの日本人儒者の対応はいくつかにわかれる。まず「日本人は夷狄である。だから夷狄を脱するために猛勉強すべき」。こ…

「ぬぐ絵画」、担当学芸員に感服

「ぬぐ絵画」展(東京国立近代美術館)は、担当学芸員の「熱」が直接伝わってくるまれな展覧会だった。 人間、それも女性の全裸の絵をずらりと壁に並べ、それを老若男女がお金を払って公の場でまじめな顔をして鑑賞する。考えてみたら、かなりおかしなことで…

女怖し脂濃い地獄=「恋の罪」

昭和の色濃い地下映画館「銀座シネパトス」で映画「恋の罪」(監督・園子温)を観る。この小屋にふさわしい、濃厚な味の一品だった。 制度(結婚)から逸脱する女性たちの強烈な性愛がテーマ。この脂っこいテーマを脂っこい演出と映像で料理した作品なので、…

大きな収穫、伊藤計劃

「虐殺器官」(伊藤計劃、ハヤカワ文庫)読了。 1年前に購入したが、なぜか読まずにいた。ふと読む気になって手に取ったら… いやあ、驚いた。これは傑作だ。ゼロ年代でのベスト和製SFに選ばれるなどすでに有名な作品で、書店に行けば今も伊藤作品は文庫本…

「論考」冒頭の存在論(1)

今日が仕事始め。通勤電車に乗る日々がまた始まった。かばんには「論考」、野矢氏の案内書と一緒に「ウィトゲンシュタイン入門」(永井均、ちくま新書)も放り込み、吊革にぶらさがりながら立ち読みする。仕事大丈夫か? 本日、「論考」は冒頭の命題「1」か…

貴重な暴露本、「狡猾の人」

「狡猾の人」(森功、幻冬舎)を読了。 防衛省元事務次官の証言による防衛疑獄の内幕本。防衛産業をめぐる日米関連企業や防衛族国会議員の駆け引きや暗躍は、軍事機密のベールに覆われ通常はなかなか表面化しない。本書は、防衛省事務方トップの事務次官経験…

「論理哲学論考」に再挑戦

新年プロジェクトとして、ちょうど一年前に始めてすぐに挫折したウィトゲンシュタインの「論理哲学論考」(以下、「論考」と略)に再挑戦することにする。また挫折したら、来年再々挑戦すればよい。 今回は、まず自分で読んで自分なりの理解、疑問を整理した…

神社の拍手は近代以降?

明けましておめでとうございます。 お正月にちなんで、初詣にちなんだトリビアをひとつ。 神社での拍手の儀礼が定着したのは明治以降である。 とういのが、それ。 以下、「神も仏も大好きな日本人」(島田裕己、ちくま新書)から、要約引用。 神社では「二礼…