2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「恋の渦」、美形なしの映像リアリズム

渋谷のレイトショーで映画「恋の渦」(監督・大根仁)を観た。 先日の「日本の悲劇」に続き、快作にして、マジ、やべえ怪作だった。人に話したくなる映画だ。 内容は、渋谷系フリーターたちの群像劇。登場人物はいずれも身勝手で、人格的に欠陥を抱えている…

藤野可織、無神経かつ繊細な人間たちの魅力

芥川賞を受賞した「爪と目」(藤野可織、新潮社)を読む。 女性特有の生理的感覚をテーマにした小説。若い女性小説家にとって、特権的題材であり、ある意味で、それゆえに安易でもあり、一発だけならともかく、このテーマを基盤に持続的に高いレベルで作品を…

「風立ちぬ」とタナトス

「避暑地での病弱な金持ち美少女との恋」。この題材だけで、少年時より読む気がまったく起きなかったが、先日、宮崎駿の映画を観たこともあり、「風立ちぬ」(堀辰雄)を読んでみた。 私達が二人きりになった時、私は彼女に近づいて、からかうように耳打ちし…

儒教的諫言の勧め

久々に論語ネタです。 「儒教は上下の身分道徳を重要視するので、下位者が上位者に反論するなんて許されない」と思われがちだが、さにあらず。孔子は、君主が間違っていたら嫌がられても注意するのが臣下の務めである」と説いている。 子路、君に事(つか)…

...

........

映画「日本の悲劇」、舞台と映画の高度な合体

映画「日本の悲劇」を観た。 快作、いや、怪作といった方がよいかもしれない。もちろん、快作以上の価値があるという意味だ。 全編、「演技の力」が漲っていた。舞台劇のような緊張感はあるが、舞台劇のような虚構性はない。強度を持つ演技によって生み出さ…