江田幹事長、「みんなの党」を語る

 参議院選挙が終わった。「自民第一党、民主大敗」の結果は、ある程度予想されてはいたが、それなりの驚きはある。

 昨年の政権交代以来、国政選挙と世論が以前よりも直結している印象を受ける。民主主義の原則からはもちろん悪いことではない。ただ、同時にある種の「危うさ」も感じる。

 さて、「みんなの党」の議席増については、「躍進」ではあるが、「大躍進」と言えるかどうかは微妙なところだ。ともあれ、この党の行方は、今後のカギを握りそうだ。

 以前から「みんなの党」を高く評価してきた、雑誌「SIGHT」(渋谷陽一編集長)が最新号で同党の特集を組んでいた。このなかから、同党幹事長の江田憲司のインタビューを中心に紹介してみたい。
 江田の現状分析は歯切れがよく、かつ江田自身が橋本政権時代に首相秘書官として官邸にいた経験があり、権力中枢の現場感もある。ただ、中軸のプレーヤーとしてはまだ未知数だ。

 (渋谷・ユニークかつ、わかりにくいのは、みんなの党は政界再編のための触媒政党として機能して、政界再編が行われたら、党はなくなってもいいって考えですよね。そんな政党はかつてなかった)
 
 (江田)触媒っていうのは自分は変わらず、まわりを化学反応させて変えていくっていう意味で、核なんです。だから政界再編が行われたらなくなるのではなく、むしろ発展的に、我々を中心として、アジェンダ(行動計画)を軸にして「この指止まれ再編」をして、さらに政権与党になっていこうということです。


 うーん、渋谷のイメージする「捨て石」という自己犠牲的イメージとはズレがある気がする。江田があくまでも狙うのは「主役」の座である。当たり前と言えば当たり前だが。

 (江田)今の自民党民主党っていうのは、90年代の再編で、結局、小沢一郎さん好き・嫌いの人間関係でできた大きなふたつの塊があるだけで、理念も政策も違う人たちが集まっている。
 (この政党の機能不全をただすため)小さくても、理念や政策が一致した政党を作ろうという気持ちでやってきました。今後の課題としては、実体が大きくなればなるほど、異論を取り込めば弱くなるという問題をどう乗り越えていくか。それがみんなの党の今後の帰趨を左右するとは思っています。


 「少数精鋭」の政党で天下が取れるのなら、レーニンボルシェビキと同じ。現代日本でこれは無理。政党メンバーは玉石混交を避けられない。しかも「選挙に立候補する人間自体が、ある意味でまともじゃない」(「SIGHT」同じ号での田中秀征の発言)のは、国民の一般常識になっている。渡辺、江田以外の所属議員が「玉」なのか「石」なのか。おそらく、遠からず、その答えはでるはず。

民主党との違いは?)
 300兆円にも及ぶ郵貯簡保の巨額な資金を国家管理使用なんて発想は世界の非常識。だから、手を組むことは絶対にありません。
 
我々は「脱官僚」で国家経営の大リストラをして、民間並に政府の贅肉を削ぎ落としてスリムな小さな政府にしていく。そこで浮いたお金は医療、介護、年金、子育てなどの社会保障にあてる。一方、民主党は、大企業の国営化路線と理念なきバラマキで大負担、大借金、大増税の「超おおきな政府」路線を進んでいる。

 
 このあたりは、社民も含む社会主義に対する強い反発を感じる。同じ雑誌で、山口二郎は、「小泉新自由主義による小さな政府は国民を不幸にした。みんなの党は、さらにその続きをやろうとしている」と批判している。

 これに対して、江田は小泉路線との違いを強調する。

 小泉改革と同じとはよく言われます。しかし、違いは二つある。ひとつはセーフティネット重視していることと、次に小泉のように財務省主導の予算ぶった切り改革ではない点。


 これは、untested。

(官僚制度改革について)
 民主党は公務員の労組依存で行革ができない。一方、みんなの党は、しがらみがないからそれができる。ただ、しがらみがないというのは、支持母体がないということですから、歴史的な大実験です。私は個人的レベルで100%ボランティア選挙を成功させたが、これからは国政の中心で、政党レベルでこの実験を成功させなければいけないので、みんなの党を作ったわけです。

 (渡辺喜美との関係)
 人間的なタイプとしては全然違います。しかし、合理主義者という点で似ている。彼(渡辺)は見た目と違って非常にサバサバしていて、また、時間があるときは一人で本を読みたいみたいな、内向的なところもあるんですよ。実は人付き合いはうまくない人だと私は見ています。

 「みんなの党」の外交政策はあまり語られてこなかった。

 (外交政策について)
 他の国が自衛戦争と位置づけている戦争については加担しない。集団的自衛権には踏み込まない。
 日本上空を通る北朝鮮のミサイルを撃ち落とすことは、集団自衛権ではなく、個別自衛権ではないか。
 アフガンへの補給艦派遣に対しては私は反対しましたが、あれはアメリカが9・11に対する自衛戦争と戦時法で位置づけており、それに加担することは集団自衛権の行使だと考えたからです。ただ、その後の国連決議で、人道復興支援の部分は正当化されているので、そこについての整理は必要だと思います。


 内政に比べると、外交は歯切れが悪い。ここらあたりを攻められるかもしれない。
 
本日はこの辺で。