2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧

死を前提とする医療とは

臨床の現場で働くベテラン開業医の書籍の書評に、深くうなずいた。書籍の題名は、「『健康第一』は間違っている」(筑摩選書)で評者は、前田英樹・立教大教授。 現代は医療というものが健康や生存への欲望をやみくもに刺激するまことに大掛かりな装置になっ…

傍観者の画家、ヴァロットン

ヴァロットン展を観る。 期待以上だった。ヴァロットンは、20代の写実風肖像画に始まり、生涯にわたり、画風も題材も変化を続け、60歳になったとたんに亡くなった。 画家として絶えざる変化の一方で、変わらなかったのは「傍観者としての眼」ではなかった…

虚実皮膜の快作「ローマ環状線」

映画「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」を観た。 ローマを囲む環状道路沿いに住むユニークな住民たちの日常を追ったオムニバス風ドキュメンタリー映画。ハラハラドキドキのストーリーとは無縁なためか、集団催眠映画「大いなる沈黙へ」ほどではなかったも…

東京一極集中の犠牲者は都民

「東京一極集中の被害者は、東京都民」というギクリとする指摘。 今日的な地域問題というのは、むしろ都市問題だ。地方から流出して人口が都市に滞留したうえ、結婚も出産もしない。今後、都市部の団塊の世代が後期高齢期に突入すると、一気に財政は傾く。地…

脳内に「私」はいない?

養老孟司氏による「<わたし>はどこにあるのかーガザニガ脳科学講義」(マイケル・ガザニガ、紀伊国屋書店)についての書評(9月14日付けの毎日新聞朝刊)が、還暦以後のテーマである「自我希薄化」の観点から気になった。 もし意識が脳から生じる機能であ…

203高地、旅順湾見えず

夏休みを利用して、大連・旅順に3泊4日で旅行に行った。 旅順へは大連からの一日ツアーを申し込んだ。東鶏冠山堡塁→203高地→水師営→旅順博物館→白玉山のコースだ。 大連から車で広い高速道路を走り、2時間弱で旅順に到着した。203高地はその名の通…