2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

朝ドラ「カーネーション」の演劇性

NHK朝ドラ「カーネーション」を尾野真千子の演技に魅せられて毎朝、見ている。朝ドラを熱心に見るのは、何十年ぶりか。 尾野真千子の演技も凄いが、糸子(尾野真千子)と母親(麻生裕未)のメークが、ドラマの時間で20年間以上、ほとんど変わらない。3…

再臨、木村栄文

渋谷でテレビドキュメンタリストの木村栄文の特集をやっていた。 金曜、土曜の二日、映画館に通い、「記者それぞれの夏」、「鉛の霧」、「まっくら」、「あいラブ優ちゃん」、「苦海浄土」、「記者ありき 六鼓・菊竹淳」の6本を立て続けに観た。もう、うな…

漱石と心臓の鼓動

通勤途上で突然、主人公が寝床で自分の胸に手を当て心臓の鼓動を確かめる小説の場面を思い出した。読んだのは10代だった。夏目漱石の長編小説だったはずだ。帰宅してネット検索すると、すぐ見つかった。長編小説「それから」の冒頭だった。 代助は昨夕、床…

メディアよ、ナマミに戻れ

内田樹によるメディア批判。どこか辺見庸による批判とも通底する。 メディアは官邸や東電やいわゆる「原子力ムラ」の過失をきびしく咎め立てているが、メディア自身の瑕疵については何も語らないでいる。「メディアの劣化について語る語彙や価値判断基準を提…

電気屋で辺見庸にあう

土曜の午後、近くの家電屋をのぞく。客はまばら。「最新」の張り紙が貼られたテレビがずらりと並んでいる。大小の画面では、AKBが踊り、清盛がにらみ、芸人が笑っている。その一台に目がとまった。野球帽をかぶった初老の男が無表情で何かをしゃべってい…

「ヒミズ」、力技の人間賛歌

仕事は普通にこなしている(つもり)だが、まだ活字を読む気にはなれない。ショック療法のつもりで仕事帰りに「ヒミズ」を観た。 園子温は、舞台を原作に従わず、大震災直後の被災都市に設定した。普通なら、「美談仕立ての人間賛歌」になるところだが、園は…