2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

橋爪のマルクス講義(1)

「橋爪大三郎のマルクス講義」(言視舎)を読んでみた。マルクスとリカードの比較や資本論の独創性と限界などの説明は参考になった。 まずは、マルクス主義への対抗思想としての構造主義の位置づけから。 マルクス主義へのアンチテーゼは、いまのところ、ひ…

「純粋理性批判」の長旅スタート

60歳になったのを機に、「純粋理性批判」読破の長い旅に出ることにする。テキストは、光文社古典新訳文庫(中山元訳)の全七巻(!)を使用する。文庫の帯にある「もう入門書はいらない!」のキャッチフレーズにもグッときた。 今日は、ヴェルラムのベーコ…

六十に至る

私事ながら本日は60回目の誕生日。これまで10歳ごとの節目に特段の感慨を覚えたことはなかったが、今回は少し違う気分だ。未知の世界に足を踏み入れる不安と期待がある。 小学生のころ、少年マガジンに、「ケネディ暗殺を予言した人物が、1970年に世…

蓮實重彦、サッカーW杯を斬る

サッカーファンでもある蓮實重彦が、今回のW杯を痛烈に批判していた。一理も二理も三理もあるとは思うが、相手の可能性を高度な技術で消しあう戦いもそれなりに面白かった気もする。少なくとも決勝戦は、緊張感のあるいい試合だったと思うが、どうだろうか…

兵士と武士のよじれた関係

「愛と暴力の戦後とその後」(赤坂真理、講談社現代新書)の続き。 学区についての記述が面白かった。 「学区」というものが、子供の体感世界にはあった。子供にとっての、目に見えない境界線。このあたりまでなら親和性があり、このへんからは違和感に変わ…

赤坂真理の戦後論

「愛と暴力の戦後とその後」(赤坂真理、講談社現代新書)読了。 日本の戦後論は、70年も経つとあらかた論点が出尽くした感があり、なかなか新しい視角からの問題提示ができにくい。「東京プリズン」で新しい角度からの戦後論を試みた赤坂氏の近著だ。 「…

「現実主義者」の非現実的妄想

現実には当然のことながら、「自己」が含まれている。それどころか、客観的だと思い込んでいる現実像のほとんどが「自己」のゆがんだレンズを通して映じた主観的イメージである。ただ、リアリズムを「自分勝手な思い込み」から峻別するのは容易ではない。そ…

アーレント人気、続く

映画「ハンナ・アーレント」のヒットをきっかけに、アーレントの関連本が売れているらしい。アーレントは筋の運び方にまだるっこしいところがあり、訳者に恵まれているともいえず、日本では売れにくい本だと思っていた。映画は今も引き続き、各地で上映され…

生殖と式年遷宮

「ゾウの時間 ネズミの時間」(中公新書)で有名な生物学者の本川達雄が、伊勢神宮の式年遷宮から生物による生殖を想起したと書いている。出典は、「式年遷宮に思う」(「公研」2014年5月号)。 絶対に壊れない建物を建てることは不可能。万物は熱力学…

伊勢の内なる敵、出雲

「再開宣言」をしてから1か月以上、更新なし。これじゃ、いかんです。今日から、本当に再開します。しばらくは引用中心で行くつもりです。 高円宮家の次女と出雲神社の禰宜(ねぎ)との結納が行われたが、天皇家と出雲大社宮司家との婚姻には、ちょっと驚い…