コガネムシと水アメ

童謡「黄金むし」。野口雨情作詞、中山晋平作曲。しみじみ歌詞を眺めるとなんともふしぎ。


黄金むしは金持ちだ
金蔵建てた蔵建てた
飴屋で水飴買ってきた


 小池光(10年8月15日付け日経朝刊)

 コガネムシがアメ屋で水アメ買った?このくだりは知らなかった。なぜ、金持ちのコガネムシが水アメ買ったのか。二番には「子どもに水アメなめさせた」の歌詞がある。しかし、なぜ水アメかはナゾのまま。

 小池はこの後、コガネムシに関する虚子の俳句を紹介する。

 
戸の透き間から黄金虫が入ってきて、蛍光灯のまわりを飛び回る。ブンブンうるさいこと限りない。なかなか捕まえられない。やっと捕らえて屋外に放り出す。
 そのときいつも


 金亀子(こがねむし)擲(なげう)つ闇の深さかな(高浜虚子


の句が浮かぶ。

 
小さな庭先だが、思いのほか夏の闇は深い。その闇に小さなコガネムシが吸い込まれるように消えていった。そんな情景か。

俳句の持つ、抽象度の高い表現力を痛感する一句だ。