2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

追悼、新藤兼人監督

新藤兼人監督が死去。享年100歳。 30年以上前の学生時代、一度だけ、ナマの新藤監督をみたことがある。 文京区の図書館で新藤作品の上映会があり、そこにゲストとして新藤監督と白井佳夫氏(だったと思う)が招かれていた。上映作品のタイトルは忘れて…

柳田国男の山人考

久々に「考える人」(新潮社)を買った。特集は「東北―日本の根っこ」だ。 山折哲雄による柳田国男についての連載「柳田国男、今いずこ」の2回目を読む。「遠野物語」の脚注の仕事への没頭が柳田民俗学の母体になったとの考察から、作品の急所で使用されるキ…

<半隠遁>の魅力

本棚を整理していたら、「人生を<半分>降りる」(中島義道、ナカニシヤ出版)を見つけた。中島は、二人っきりで酒を飲みたくなるタイプではないが、本を通じて付き合うには、哲学独習者には有益、かつ、くたびれた中年会社員には刺激剤にもなる人物だ。 パ…

続「みすず」アンケート

久々に「みすず」の読書アンケート特集の続きです。最初は、今年は不作かと思っていましたが、読み返してみると、食欲がわいてきそうな本がいろいろありました。<>内は、風船子による自註です。 ・松沢弘陽校注「新日本古典文学大系・明治編10 福澤諭吉…

瀬島龍三評価の難しさ

先夜、BSテレビで2009年放映の「不毛地帯」を再放送していた。周知のように主人公のモデルは、瀬島龍三だ。この回は、石油をめぐる商社間の激烈な競争の最前線で、クールな主人公(唐沢寿明)が勝利を収める展開だった。定番なりにハラハラ感があり、…

痛すぎる救済、KOTOKO

映画「KOTOKO」(塚本晋也監督)を新宿で観る。 あきらかに過剰だが、過剰でなければ伝わらないものもある。 冒頭の10分で、過剰な「痛み」に耐えかねて久々にスクリーンの前から逃げ出したくなった。ネットの映画評に「体調を整えてから観る映画」…