2016-01-01から1年間の記事一覧

ボブ・ディランと半可通応援歌

小田嶋隆のツィッター記事に、絶滅寸前の半可通の一人として「その通り」と深くうなづいた。 「自分がちょっと詳しい分野の話をうれしそうに語る人」が「なるほどお詳しいんですね」と言ってもらえず、「半可通がしたり顔でウンチクを垂れまくりやがってウザ…

処女作で春樹節全開

またまた村上春樹。まだ未読だったデビュー作『風の歌を聴け』を読んでみた。 これについて、村上自身はこう語っている。 “いわば開き直って、思いつくままにすらすら書いただけの作品だったから、そんなもの(『風の歌を聴け』」)が最終選考(「群像」新人…

ノーベル賞インタの悲喜劇

ノーベル医学生理学賞を日本人が受賞した。各テレビが順番に行う受賞者インタビューが正視に堪えない。業績についてまったく理解できない聞き手が、歯の浮くような祝辞を繰り返し、中学生でもできる定型中の定型であるお決まりの質問を繰り返す。当然、自然…

栄養あるソーメンと春樹エッセイ

今日から10月。月替わりで気分を替えて、久々の書き込みです。 ちょっとした気まぐれで、書店で「職業としての小説家」(村上春樹、新潮文庫)を購入した。ハルキは、以前は新作が出るたびに読んでいたが、「海辺のカフカ」あたりで「ちょっと虚構の濃度が薄…

62回目の生誕記念日とSZ

62回目の誕生日。朝の通勤電車で久々に「存在と時間」を拾い読み。日中は職務をこなし、夜は荻生徂徠の読書会。それなりに、悪くはない誕生日だった。 “現存在は、存在している間に未熟と同様に終末をも含んでいる” “死へ臨んでそれを隠しながら回避すること…

江戸時代の大ヒゲ禁止令

江戸時代の儒教勉強会で、講師曰く、「江戸時代はヒゲが禁止されていた」。 そういえば、江戸時代の将軍や大名がヒゲをはやした肖像画をみたことがない。 ネットで調べると、徳川時代になり戦がなくなり、武士、特に直参の旗本、御家人の子弟が、暇を持て余…

自衛隊の国連PKO参加に伴う法的矛盾

「通販生活」最新号をパラパラめくっていたら、国連PKO活動と自衛隊との関係について、きわめて明快な説明をみつけた。意外な場所で意外な収穫だった。 2000年、私はインドネシアから独立が決まった東チモールに国連職員として派遣され、PKO部隊の…

今さらですが、米原真理に感心

正月の気まぐれで「打ちのめされるようなすごい本」(米原真理、文春文庫)を買ってみた。もちろん米原が優秀なロシア語通訳者であり、名エッセイストであり、五十代で鬼籍に入ったことも知っている。新聞での書評やエッセイもいくつか読んで、好感をもって…

タブーとしての対日協力問題

フランスのヴィシー政権はわずか4年間の対独協力だったが、それでもそのとき誰がどういうふうにドイツに内通したのかについての徹底究明は手控えられた。第四共和政の指導層の中に大量の対独協力者が含まれていたからである。彼らの戦時中のふるまいを暴露…

ご無沙汰と賀正と「想像ラジオ」

もう7か月以上、ブログを更新していない。それなりに仕事は順調で、読み書きもそれなりに進んでいるのに、あるいは、順調に進んでいたからこそブログが書けなかったのかもしれない。 これまでより脱力して、とにかく書くことにする。「プロの書き手とは、書…