2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

読書アンケート(2)

みすず書房の「読書アンケート特集」2012年版の紹介2回目です。 ・フランソワーズ・クロアレク「セラフィーヌ」(未知谷) 〜一介の家政婦が、ピカソやルソーと親しい画商ウーデに、その画才を発見される。しかし彼女は栄光と没落の果てに精神病院で生…

みすず「読書アンケ」(1)

毎年、発売直後にブログで紹介している「読書アンケート特集」(みすず書房)だが、今年は紹介が遅れてしまった。震災の影響で、「今年は本をよむ気分にならなかった」との回答も目立ち、また震災関連本の重複が多かったこともあり、内容的に今一つインパク…

「吉本隆明=無教会派祭司」説

橋爪大三郎による、吉本隆明は左翼の世界での「無教会派祭司」との指摘。ホッブズの説明は面白かった。 全共闘に集まった学生は、日本共産党にも新左翼セクトにも懐疑的で、得体のしれない前衛に「召喚」されたくないと思っていた。(前衛の言うことを聞かな…

ギリシャは非ヨーロッパ?

欧州文明の基礎を作ったといわれるギリシャ人だが、ギリシャ人にとって、ヨーロッパは「他者」だったという指摘を紹介したい。出典は、「ギリシャはどれほど『ヨーロッパ』か?」(村田奈々子、「中央公論」2012年5月号) 西ヨーロッパ諸都市では、17…

孟子と兄嫁

朱子学の勉強会で、講師が「孟子」の「離婁章句」に言及した。この部分の要約は以下の通り。 弟子が孟子に尋ねた。 「男女間では直接手渡しするのは礼に違反するが、兄嫁がおぼれている時にも手を握って助けてはいけないのでしょうか」 孟子先生の答えは「礼…

回廊で「石と時間」を想う

*1334007880* 時差ぼけで5時半に眼が覚めた。 一週間の出張で、フィレンツェ、パリ、ブリュッセルを駆け足でまわってきた。強行軍でくたびれたが、日本を出ると、なんだか呼吸が深くなって、落ち着く気がする。 フィレンツェではTシャツが目立つほどの陽気…

佐野洋子と雲古

4月1日にふさわしいのかどうか、本日は、ハイセツブツの話である。今、惚れている佐野洋子のエッセイを紹介したい。 冒頭から、すごい。 父が初めて私に注目し、過大な期待と愛情をもつきっかけになったのは、ウンコだった。(これが冒頭の一文!風船子注…