メルケル独首相、コロナ演説全文日本語訳

ドイツのメルケル首相が行ったコロナウイルス対策についての演説全文の日本語訳を見つけた。 こういう事態になった時、どういう言葉で国民に訴えるかは、一国の指導者として真価を問われることになる。ドイツ語は理解できないが、他国の人間である私にも、メ…

2年10か月ぶりの帰還です

みなさん! といっても、しょぼいブログの書き手など覚えている人はだれもいないだろうが。 本日、3月29日はオヤジの命日だ。東日本大震災と同じ月、2011年3月29日に87歳でこの世から旅立った。あの時も、今のコロナ騒ぎのように世の中を重たい先の見えない…

追悼、岡田英弘教授

歴史学者の岡田英弘氏の訃報が今朝の朝刊各紙に載っていた。 ちょうど岡田氏の『日本史の誕生』(ちくま文庫)を読んでいるところだった。 岡田氏の『世界史の誕生』(ちくま文庫)は、モンゴル帝国が真の意味での「世界史」を成立させたと主張する。 中国史…

「タテマエ」のお手入れ急務

5月14日付の朝日新聞書評欄から、いくつか要約と引用。 『財政と民主主義』(加藤創太、小林慶一郎編著、日本経済出版社) 日本の財政が先進国のなかで飛び抜けて悪化した理由は、財政の透明性が低く、有権者が将来の政府を信用しなかったのが一因。民主主…

安部改憲案は「9条護憲」?

「毎日新聞」のコラム「風知草」(5月15日付け)で、山田孝男・特別編集委員が指摘している点は、今後の改憲議論を考えるうえで参考になる。(引用ではなく、要約です) 安倍首相の「9条改憲」提案について、「右翼政権の勝手放題」との評判が先行しているが、…

「穏健派」不在のシリア情勢

高橋和夫・放送大教授が日経書評(5月13日付け)でシリア問題関連書籍を紹介していた。大枠理解の参考に。 『シリア情勢』(青山弘之、岩波新書) →シリア情勢はアサド大統領が悪人で反体制派が善人という善人という勧善懲悪の物語ではない。しかも世界が期…

写実画の凄み

Eテレの「日曜美術館」の今日のテーマは、「ニッポンの写実画のゆくえ」。番組で紹介された礒江毅、長谷川 潾二郎、犬塚勉、木下晋…いずれも、個展に足を運び、大きな衝撃を受けた画家ばかりだ。平塚美術館で開催中だという。次の日曜に足を運んでみよう。 …

「昭和天皇実録を読む」を読む

『「昭和天皇実録」を読む』(原武史、岩波新書)を読む。 全体としては、「昭和天皇の理解には、実の母である貞明皇太后との確執が重要」という原武史氏の持論を、「実録」で検証していくというもの。 まず、昭和天皇の人間形成には、幼少期の沼津体験が多…

礼の効用ー"as-if"world

『ハーバードの人生が変わる東洋哲学』(マイケル・ピュエット、早川書房)紹介の続き。 儒学の「礼」といえば、堅苦しく、融通が利かない儀礼と思いがちである。 ところが筆者は、こういう。 ばったり友人に出会った。 「やあ、元気?」 「うん、元気だよ。…

座布団はまっすぐに

『ハーバードの人生が変わる東洋哲学』(マイケル・ピュエット)の第二弾。今日は、孔子の「礼」について。 孔子は、世界的な大思想家だが、崇高な理念を説いたわけではない。たとえば『論語』にはこんな言葉がある。 「席正かざれば、坐せず」(孔子先生は…

學而時習之、不亦説乎

儒学といえば、かつて、プロ中のプロの講師の下で、朱子の「論語集注」を数年かけて読書会で読み上げたことがある。このブログでも以前、内容をいくつか紹介したことがあるが、今回の読書にあたり、久々に当時のブログ記事を読み返してみたら、「儒学の現実…

古代中国哲学があなたを変える!

『ハーバードの人生が変わる東洋哲学』(マイケル・ピュエット、早川書房)を読む。 なんだが「信長から学ぶ部下掌握術」のようなおバカタイトルだが、意外にも(ハーバード大に失礼だが)中身は本格的、かつユニークな中国思想解説書だった。英語の原書まで…

適者生存戦略としての弱者保護

先日、yahoo質問箱をのぞいていたら、秀逸な回答にぶつかった。 社会的エゴまるだしの言説が「本音」として喝采される「幼児的倒錯」(幼児に失礼かも)が、ネットの世界で蔓延している。この回答は、そうした風潮への反駁としてかなりの高レベルだと思…

「憲法記念日」第二弾

「憲法記念日」の第二弾。 久々に分厚い『<民主>と<愛国>』(小熊英二、新曜社)の「第4章 憲法愛国主義」をめくってみた。 70年前の5月3日、この日、新憲法施行を祝う式典は皇居前広場で行われた。 式典では吹奏楽団がなんどアメリカ国歌を演奏し、吉…

首相、改憲日程を明言

今日は、憲法記念日。しかも今年は、日本国憲法の施行から70年目にあたる節目の年。読売新聞の安倍首相インタビューが目を引いた。 主なポイントは、①憲法改正し2020年施行をめざす②9条の1項、2項は維持したうえで自衛隊の存在を明記した条項を追加する③自…

前衛主義者としての安倍

安倍政権ネタを続けます。『政治が危ない』(御厨貴、芹川洋一、日本経済新聞出版社)から抜粋。二人とも、保守派に分類される立場で、安倍と直接、言葉を交わし、観察できる位置にいた。その二人の言葉なので、証言としては価値があるかも。 (御厨)ある派…

言霊信仰としての「改憲」

毎日新聞に藻谷浩介が、『安倍官邸権力の正体』(大下英治、角川新書)についての書評を書いていた。 「チーム安倍」は、憲法改正という悲願その一点のために支持率を一定水準以上に維持できるよう、他のあらゆることをその手段として邁進しているらしい。 …

七回忌とカミサマ

今日はオヤジの七回忌。6年前の今日、同僚と出先で昼食中に、病院にいた妻からのメールで訃報を知らされた。自宅に喪服を取りに戻り、すぐに空港へ向かった。思い出したくないが、忘れてはいけない日だ。 今朝は出勤前に、お寺に行った。帰宅したら先日注文…

安倍首相が通訳!日米首脳会談、珍場面

日米首脳会談で、笑えるネタをBBCの動画で発見したので、お知らせする次第です。ほほえましくもあり、まさか本番もこの調子じゃないだろうなと不安になったり…。 場面は、ホワイトハウスでの両首脳フォトセッション。日本人カメラマンたちが、カメラ目線…

ボブ・ディランと半可通応援歌

小田嶋隆のツィッター記事に、絶滅寸前の半可通の一人として「その通り」と深くうなづいた。 「自分がちょっと詳しい分野の話をうれしそうに語る人」が「なるほどお詳しいんですね」と言ってもらえず、「半可通がしたり顔でウンチクを垂れまくりやがってウザ…

処女作で春樹節全開

またまた村上春樹。まだ未読だったデビュー作『風の歌を聴け』を読んでみた。 これについて、村上自身はこう語っている。 “いわば開き直って、思いつくままにすらすら書いただけの作品だったから、そんなもの(『風の歌を聴け』」)が最終選考(「群像」新人…

ノーベル賞インタの悲喜劇

ノーベル医学生理学賞を日本人が受賞した。各テレビが順番に行う受賞者インタビューが正視に堪えない。業績についてまったく理解できない聞き手が、歯の浮くような祝辞を繰り返し、中学生でもできる定型中の定型であるお決まりの質問を繰り返す。当然、自然…

栄養あるソーメンと春樹エッセイ

今日から10月。月替わりで気分を替えて、久々の書き込みです。 ちょっとした気まぐれで、書店で「職業としての小説家」(村上春樹、新潮文庫)を購入した。ハルキは、以前は新作が出るたびに読んでいたが、「海辺のカフカ」あたりで「ちょっと虚構の濃度が薄…

62回目の生誕記念日とSZ

62回目の誕生日。朝の通勤電車で久々に「存在と時間」を拾い読み。日中は職務をこなし、夜は荻生徂徠の読書会。それなりに、悪くはない誕生日だった。 “現存在は、存在している間に未熟と同様に終末をも含んでいる” “死へ臨んでそれを隠しながら回避すること…

江戸時代の大ヒゲ禁止令

江戸時代の儒教勉強会で、講師曰く、「江戸時代はヒゲが禁止されていた」。 そういえば、江戸時代の将軍や大名がヒゲをはやした肖像画をみたことがない。 ネットで調べると、徳川時代になり戦がなくなり、武士、特に直参の旗本、御家人の子弟が、暇を持て余…

自衛隊の国連PKO参加に伴う法的矛盾

「通販生活」最新号をパラパラめくっていたら、国連PKO活動と自衛隊との関係について、きわめて明快な説明をみつけた。意外な場所で意外な収穫だった。 2000年、私はインドネシアから独立が決まった東チモールに国連職員として派遣され、PKO部隊の…

今さらですが、米原真理に感心

正月の気まぐれで「打ちのめされるようなすごい本」(米原真理、文春文庫)を買ってみた。もちろん米原が優秀なロシア語通訳者であり、名エッセイストであり、五十代で鬼籍に入ったことも知っている。新聞での書評やエッセイもいくつか読んで、好感をもって…

タブーとしての対日協力問題

フランスのヴィシー政権はわずか4年間の対独協力だったが、それでもそのとき誰がどういうふうにドイツに内通したのかについての徹底究明は手控えられた。第四共和政の指導層の中に大量の対独協力者が含まれていたからである。彼らの戦時中のふるまいを暴露…

ご無沙汰と賀正と「想像ラジオ」

もう7か月以上、ブログを更新していない。それなりに仕事は順調で、読み書きもそれなりに進んでいるのに、あるいは、順調に進んでいたからこそブログが書けなかったのかもしれない。 これまでより脱力して、とにかく書くことにする。「プロの書き手とは、書…

龍樹式、俗にあって俗を超える

先日来の「世界は実体か虚構か」の議論の続き。今日は、「ゆかいな仏教」(橋爪大三郎、大澤真幸、サンガ新書)から、キリスト教と比較しながら仏教の存在論に言及する箇所を要約引用します。この二人は「ふしぎなキリスト教」(講談社現代新書)でも、掛け…