2015-01-01から1年間の記事一覧

龍樹式、俗にあって俗を超える

先日来の「世界は実体か虚構か」の議論の続き。今日は、「ゆかいな仏教」(橋爪大三郎、大澤真幸、サンガ新書)から、キリスト教と比較しながら仏教の存在論に言及する箇所を要約引用します。この二人は「ふしぎなキリスト教」(講談社現代新書)でも、掛け…

英国総選挙と「2つのナショナリズム」

英国総選挙は意外な結果となった。事前の世論調査を材料に、マスコミは「保守、労働の二大政党とも過半数に届かないのは確実で、焦点は選挙後の連立問題」と報じていたが、結果は与党・保守党が過半数を確保し、保守党単独政権が決まった。 風船子は、199…

「バードマン」、映画的アクロバットの妙技

「アカデミー賞のアメリカ映画」と聞いただけで見る気がなくなるヒネクレモンだが、いくつかの映画評に感じるところがあり、「バードマン」を上映中の劇場に足を運んだ。 この判断は正しかった。メジャーなアメリカ映画にはない、ひねった高レベルの批評性を…

「実体やらなかとよ」

多くの子供がある一時期、死ぬのがとてつもなく恐ろしくなる。この場合、恐怖の対象は「死」一般ではなく、「自分の死」だ。おそらく、「自分は自分」という自我意識の形成期にあるがゆえに、自我消滅である「自分の死」におびえているのだろう。しかも「自…

<私>は現象である

昨日はローカル電車を乗り継ぎ、秩父に行く。人口減少はどこの国の話?と言いたくなるような人出だった。地元の高校生が、秩父駅で「この駅でこんなに人をみたのは初めて!」と驚いていた。 さて、頭のサビが少し落ちたついでに、もう少し「懐疑」について引…

色即是空の実在論

快晴、汗ばむ陽気、まばゆい新緑…よい季節だ 最近、飲酒の翌日はとみに頭が働かなくなった。よって、思考の快楽もない。快楽がなければ思考をしない… 昨日、酒を抜いたせいか、今日は久々に哲学書に手が伸びた。脳のサビを落とそうと「時間と存在」(大森荘…

「短命化」という進化

新緑がまぶしい。加齢のせいか、年ごとに新緑が美しくみえてくる。いや、「美しさ」以上のものにみえてくる。 大木から草へ。大から小へ、長命から短命へ。実は、これが植物が選んだ進化だった。 不思議なことに、植物は千年も長生きするような木本植物から…

「アメリカの戦争」映画2本

アメリカによる映画を2本観た。「アメリカン・スナイパー」と「ハーツ・アンド・マインド」。前者がイラク戦争を描いたクリント・イーストウッド作品、後者はベトナム戦争をテーマにしたドキュメンタリー映画。 「アメリカン・スナイパー」は、イラク戦争に…

呼吸再開

1月3日以来、今年二度目のブログ更新。これまでは、ブログご無沙汰の期間は、心身の低空飛行と重なっていたが、今回はむしろ心身共に順調故の「失文症」だ。 「読み書きは呼吸 」をめざす観点からは好不調に関係なく続けていくのが筋であろう。年度の変わ…

年初は「21世紀の資本」で

新年の「読み始め」として、今、世界的に話題になっている「21世紀の資本」(トマ・ピケティ、みすず書房)に挑戦することにした。 とりあえず、この三が日で全600ページのうち約40ページにあたる「はじめに」を読了した。全体のテーマが明示してあり…