2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

2012年の「この3冊」

なんだか最近、このブログで本の紹介をしてばかりいる。 「いつか読みたい本」を忘れないための備忘録が主目的だが、「自己表現」への関心が薄れつつある最近の心情の反映かもしれない。そして、読んでくれたごく少数のうちのさらにごく少数の人にとって何か…

死んだら死んだで生きていく

久々に詩をひとつ。 痛いのは当りまえじゃないか 声をたてるのも当りまえだろうじゃないか ギリギリ喰われているんだから おれはちっとも泣かないんだが 遠くでするコーラスにあわして唄いたいんだが 泣きだすこともあたりまえじゃないか みんな生理的なお話…

2012年の新書総括

永江朗と宮崎哲弥による2012年の新書批評の紹介。掲載誌は、「中央公論」3月号。 年間ベスト3 「社会を変えるには」(小熊英二、講談社現代新書)「田中角栄」(早野透、中公新書)「日本近代史」(坂野潤治、ちくま新書) (宮崎)2012年の新書界は、…

サッチャー、光と影

サッチャーが亡くなった。 「英国病克服の立役者」、「信念に生きた『鉄の女』」などなど、日本のマスコミでは功績をお香典がわりに並べた追悼文が並ぶ。 英国の新聞には、辛辣な記事も並んでいた。リベラル派のガーディアンは、10年前に書かれた「サッチャ…

エル・グレコをアタマで観る

上野で「エル・グレコ展」、「円空展」、「ラファエロ展」をはしごする。おまけに最後の西洋美術館では常設展一周で締めたので、さすがに足にきた。 いずれも、いろいろ考えさせられた。このうちエル・グレコはトレドでかなりの作品数を観たこともあるが、個…

朱子学的理想主義の結果的リアリズム

久々に「論語集注(朱子)読書会」報告です。今日の範囲は、論語の「憲問第十四」。 例によって、講師曰く… 「正しいことをすれば、結果は後からついてくる」という、「信条倫理」が朱子学の基本にある。一見、非現実的にみえるが、結果を気にして方針がぶれ…

読書アンケ(2)

「みすず」の読書アンケート第二弾。 ・都築響一「東京右半分」(筑摩書房)〜地下の高い東京西部を脱出して今やアナーキーな前衛美術、いや、あらゆる若者風俗が東京の東(右!)半分へと遁走しトンデモないクリエイティヴな空間を生み出しつつある。(大野…

「勤め人読書派」の師

先日礼賛した山村修さんの本をまだ読み続けている。6冊目になった。 山村さんは、小生にとって「勤め人通勤読書派」の偉大な師である。もちろん面識はない。山村さんの存在を知った時は、すでに故人だった。本を通してだけの師弟関係。それで十分だ。 山村…

昭和の逆襲、シネパトス

銀座の地下でひっそりと生き延びていた名画座「銀座シネパトス」が3月31日に閉館した。 http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK31019_R30C13A3000000/ この「小屋」があったのは、古ぼけた小さな地下街。そこは世界的ブランドが軒を連ねる銀座中心部のす…