ご無沙汰と賀正と「想像ラジオ」
もう7か月以上、ブログを更新していない。それなりに仕事は順調で、読み書きもそれなりに進んでいるのに、あるいは、順調に進んでいたからこそブログが書けなかったのかもしれない。
これまでより脱力して、とにかく書くことにする。「プロの書き手とは、書くことをやめないアマチュアのことだ」というのが、このブログの基本理念なのだから。
新年早々、悪性の風邪にかかり、もう3日以上も38度を超える日が続いている。夕食を食べたら7度まで下がり、ひどい偏頭痛の消えたので、読みかけていた「想像ラジオ」(いとうせいこう、河出文庫)を読み上げる。今年最初の完読だ。
しみじみとして良い本だった。生者と死者との交流話、正確言えば、死者間の交流話。年末年始、両親が消えて4年になる空き家の実家に2泊したせいもあり、無理なく体に入ってきた。
星野智幸の解説にあった「植物はヒトを操る」(電子版特別対談)からの引用も面白かった。
曰く、「死んでる組織と生きてる組織があるのが木。生きてる組織だけなのが草花」(竹下大学)
なるほど。
「(樹木の)内側の材木になるところは死んでいます」(竹下)「じゃ、わかいやつらが死体を抱え込んで立っていると」(いとう)
なるほど
一本の樹木を一人に見立てると、「樹木は一番内部に死を抱えて生きている」ことになる。
明日から木を見る目が少し違ってくる気がしてきた。