読書アンケート(2)

 みすず書房の「読書アンケート特集」2012年版の紹介2回目です。

・フランソワーズ・クロアレク「セラフィーヌ」(未知谷)
〜一介の家政婦が、ピカソやルソーと親しい画商ウーデに、その画才を発見される。しかし彼女は栄光と没落の果てに精神病院で生涯を閉じた。絵を描くという行為の不思議さ。(酒井忠康


山本周五郎「虚空遍歴」(新潮文庫
〜理想の浄瑠璃創作を追求した男の妥協なき彷徨と挫折に激しく打たれた。(田中真澄)


・浅見雅男「不思議な宮さまー東久邇宮稔彦王の昭和史」(文藝春秋
〜進まぬ皇族研究の大穴を、ほとんど一人で埋めているのが筆者だ。(原武史


山野井泰史「垂直の記憶」(ヤマケイ文庫)
〜(登山家の)著者は文章も極上で1ページたりとも飽きさせることがない。(江口重幸)


つげ忠男曼荼羅華綺譚」(北冬書房
〜劇画の表現力に魅了された。(山根貞男


小沢信男津野海太郎黒川創小沢信男さん、あなたはどうやって食べてきましたか」(編集グループSURE)
〜「人は生きていたように死んでいる」、つまり生前子分をつくるのが好きだった人ほど、死後も「○○の会」といったものができやすいという指摘。(山田稔
小沢信男は未読だが、小生のテイストに合いそうな直感がする。「通り過ぎた人々」(みすず書房)なども面白そう。

・山竹伸二「『本当の自分』の現象学」(NHKブックス)
〜なぜ人が「本当の自分」なるものを想定してしまうのかにまつわる現象学的な解明の試み。(加藤典洋


 短評を読んでいると、つい、読んだ気になってしまう。それもまたよし、と思うようになってきた。

 悟りか、堕落か。