東京一極集中の犠牲者は都民

「東京一極集中の被害者は、東京都民」というギクリとする指摘。

 今日的な地域問題というのは、むしろ都市問題だ。地方から流出して人口が都市に滞留したうえ、結婚も出産もしない。今後、都市部の団塊の世代が後期高齢期に突入すると、一気に財政は傾く。地方の自治体経営が苦しくなった場合、逃げられる人間は別の自治体や都市に異動すればよかった。しかし、東京の人間の多くは逃げ場もなく追いつめられる。人口を維持したまま息詰まるのは、過疎で破綻するより悲惨だ。


 東京二十三区でも、性格保護率が高く失業や貧困にあえぐ人が多く暮らす地域が増えている。今後二十三区の東部などでスラムと貸す地域が出てくるのではないか。


 これを防止するには東京一極集中を排除するしかない。たとえば東京から地方に拠点を移動した企業を対象に法人税を下げることなどが考えられる。

         石井吉春(北海道大教授) 「選択」7月号