追悼、新藤兼人監督

 新藤兼人監督が死去。享年100歳。

 30年以上前の学生時代、一度だけ、ナマの新藤監督をみたことがある。

 文京区の図書館で新藤作品の上映会があり、そこにゲストとして新藤監督と白井佳夫氏(だったと思う)が招かれていた。上映作品のタイトルは忘れてしまったが、白黒作品で貧しい下町を舞台にした内容だったと思う。上映後の質疑応答で、私が手を挙げ「映像だけで十分に哀しさが伝わってきたが、音楽がセンチメンタルすぎて、じゃまになった」と思いっきり生意気な質問をすると、怒りもせずに丁寧に答えてくれた記憶がある。あのとき、すでに60代後半だったのか。

 個人的には「裸の十九才」が一番記憶に残っている。


 気骨があり、ユーモアがある、堅くて柔らかい男を貫いた一生だった。合掌。