座布団はまっすぐに
『ハーバードの人生が変わる東洋哲学』(マイケル・ピュエット)の第二弾。今日は、孔子の「礼」について。
孔子は、世界的な大思想家だが、崇高な理念を説いたわけではない。たとえば『論語』にはこんな言葉がある。
「席正かざれば、坐せず」(孔子先生は、敷物がきちんとしていないと座らなかった。「郷党第十」)
座布団がまっすぐ置かれていないと、先生は座らなかった、ということだ。「自分でまっすぐにして座れよ」とツッコミたくなるが、ここは相手に気持ち良く座ってもらうために配慮が必要だと言っているのだ。これが、世界的な大思想書?
『論語』のどこが偉大な哲学書なのか。それを理解するためには、孔子がどうやって食事をしていたかを必要がある。
自由意思はあるのか、経験は客観的かどうか、哲学者はすぐ壮大な問いに飛びつきたがる。
しかし、孔子はこれとは正反対だ。基本的で、見かけによらず深遠なこんな質問を投げかけた。「君は日々をどう生きているのか?」
He asked this fundamental and deceptively profound question:
How are you living your life on a daily basis?
日々の暮らしで、私たちは、他者に対しその場その場で、無数の感情的対応を繰り返している。そのうち負の感情がパターン化して習癖になることもある。どうすれば、感情をむき出しにせず、他者に対して適切な対応ができるのか。孔子は、その鍛錬の手段が<礼>だという。
<礼>とは、何か。次回に続く。