今日は、66回目の広島原爆忌。
英語学習からみた「No more Hiroshima」問題を取り上げてみる。
引用文献は、「日本人が誤解する英語」(マーク・ピーターセン、光文社)です。
実は、“No more Hiroshima, no more Nagasaki” は英語になっていません。英語では、これを“No more Hiroshimas, no more Nagasakis” と言います。複数形になって初めて、「広島、長崎の悲劇の繰り返しは許さない」の意味を持つ英語になるのです。
なぜ複数にする必要があるのか。
それは、more(もっと、それ以上)の言葉が、対象になっているモノを超えることを意味するからである。つまり、その対象のモノが数えられる名詞である場合は、「そのモノ(少なくとも1)」を超える2以上ということになるからmoreの次は複数形になるとピーターセンは説明する。
例えば、
I have one girlfriend, but I want more girlfriends.
(僕は、彼女が一人いるんだけで、もっといてほしい)
というセンテンスに見られる理屈です。具体的に「1人では足りないから、もっといてほしい」ということですから、その「もっといて」というのは、「少なくとも2人いて」に決まっています。
あとのgirlfriendsには現在の彼女(1人)も含む、girlfriends全体のことを指すのだと思う。それならば、確かにmoreに続くのは必ず複数形になる。
この種の間違いの例として、銃追放運動のスローガン「NO MORE GUN」も挙げられている。可算名詞であるgunが、moreの後に無冠詞で単数形で使われることはあり得ないというわけだ。
ただし、不可算名詞は対象外。“No more wine” “No more violence”はOKとなる。