書店でもらってきた岩波PR誌「図書」をめくっていたら、ページ左端の書籍広告で「狩野亨吉の研究」(鈴木正、ミネルヴァ書房)が目に入った。「狩野亨吉。どこかで聞いた名前だな。えーと、だれだったかなあ」と考え込む。ここであきらめては初老性ボケが進行すると思い、しばらく粘ってがんばっていると、「思い出した!」。
狩野の名前は、ちょっと前に読んだ新聞の書評欄にあった。
京都帝国大学文科大学の初代学長である狩野亨吉は、哲学者で、夏目漱石が終生敬愛し、漱石の弔辞は彼が読んでいる。
狩野は、文部大臣から裕仁親王(昭和天皇)の教育係を依頼されたが、固辞。そのとき、狩野は学長を辞め、古書商になり、春画を集めて、おのが性器のスケッチをとって、性欲の研究に没頭しているところだった。
大学学長にして漱石の親戚。将来の天皇の教育係を断って市井のエロ研究者
に…記事を読み、なんじゃそりゃ、と驚いた記憶があった。
狩野に関しては、ネットで松岡正剛の紹介文も見つけた。関心のある方は、ごらんいただきたい。
http://1000ya.isis.ne.jp/1229.html
ちっちゃい人間がでかい顔をする国になりはてた現状を思うと、「いやはや、昔はほんとにでかい人がいたもんだ」と、唖然としながら感心するのみ。