息をすうこと、はくこと

 息をするように書いていくつもりでブログを始めたが、最近はなかなか継続的に書けない。つまり、息を十分にしていないということだ。


 一月ほど前に「ペスト」(カミュ)を読んだ。西欧における「神なき倫理」を軸にして、「ペスト」について何か書けると思ったが、なかなかうまくまとまらない。


 年初に始めた「論理哲学論考」の一人学習ノートも、母の急死以来、止まったままだ。それでも、ようやく抽象的思考を伴う読書への食欲も戻ってきたので、とりあえず、通勤電車では、「数学者の哲学、哲学者の数学」(砂田利一、長岡亮介野家啓一、東京図書)を読んでいる。


 気分を立て直そうと関川夏央も久々に読んでみた。やはり、うまい。関川は、明治・大正の文学を素材にした「研究的著作」も悪くないが、何といっても真骨頂は、ボヤキまじりの斜に構えたエッセイ群にある。


 最近、年少の友人から佐野洋子を教わり、ぞっこんほれてしまった。絵本「100万回生きたねこ」はタイトルしか知らず、子供相手の説教臭い絵本を書く善人風童話作家だと思い込んでいた。無知とはおそろしい。


 というわけで、息をはく、つまり「書く」ほうは不全の状態だが、息をすう、つまり「読む」ほうはなんとか続いているので、なんとか死なずに生きている。


 上記の本をちびちび引用しながら、もっと息をはくようにしよう。


 明日から1週間、仕事で欧州に行く。かばんに入れる文庫は、佐野洋子は決まりだが、あとは何にしようか。