地域主義考、ホークスとライオンズ

 ソフトバンク日本一を福岡でテレビ観戦した。翌日、郊外の和菓子屋まで「祝ホークス日本一!」とシールが貼られた福袋が山積みになっていた。

 40年近く前、郷里・福岡を離れるときは、福岡はまだライオンズの街だった。もちろんすでに西鉄ではなく、親会社は太平洋クラブか、クラウンライターだった。その後、ライオンズは所沢に移り、福岡からプロ野球球団が消えたが、20年前にホークスが大阪から福岡に移った。



 今や、すっかり福岡はホークスの街だ。しかし、少年時代、連戦連敗の西鉄をKBCやRKBのラジオ放送で一生懸命応援した身にとって、「ライオンズ」は特別の響きを持つ。そして「ホークス」は宿敵・南海ホークスの記憶がまだ残っている。福岡の球団が優勝したことはうれしいが、それがライオンズではなくホークスという点に、まだ割り切れない気持ちが残る。


 少年時代の友人たちをみると、ホークスが福岡に来る前に福岡を離れた人間にはやはり「ライオンズ」への郷愁を捨てきれない者が多い。ずっと福岡で暮している人間の多くは、今や熱狂的ホークスファンになっている。


 日本一に湧く故郷で、「地域主義の根っことは何か」をつい考えてしまった。