「現実破壊」としてのリアリズム、礒江毅

 練馬区立美術館で「礒江毅=グスタボ・イソエ」展をみる。礒江は30年間、リアリズムの画家としてスペインで暮し、2007年に53歳で急逝した。


 リアリズムの超絶技巧で描かれた事物は、写真のような「現実感」がある。しかし、じっとみていると、その「現実感」が次第に溶解していく。事物をデフォルメして描き「写真からの離脱」を追求したのは、現代絵画の大きな達成だ。しかし、「事物そのまま」の描写を徹底することで「写真からの離脱」を達成したのが、礒江の作品群かもしれない。

 目に見える事物自体の奇怪さに気づかせてくれた。