空中でのお楽しみ

 ごぶさたです。仕事プラス私的分野での頼まれた調べもの(イタリア・ファシズム)で手いっぱいでした。

 現在地はパリ。日々の雑用からちょっと逃げられたので、久々にアップします。それにしても、寒く、暗い。朝は8時すぎても明るくならない。ホテルのエアコンもあまり働いてくれず、寒い。ユニクロヒートテックももひきを持ってきて正解だった。

 さて、本日のお題は、JALの機内音楽サービスの選曲。加齢からくる若年回帰のせいか、つい60年代〜70年代のJポップスを聞いてしまう。リストをみると、「風」(はしだのりひこ)、「誰もいない海」(トワエモア)などの定番にまじって、「秋でもないのに」(本田路津子)、「昨日・今日・明日」(井上順)などの渋い曲があった。沢田研二にしても有名なヒット曲ではなく「コバルトの季節の中で」だった。そういえば、1年前にはテンプターズがあったが、ショーケンの「エメラルドの伝説」ではなく、松崎の「おかあさん」だった。

 時差ぼけでどうでもいいことをだらだら書いてしまった。ただ、こうした「くせ球」を入れた配球は、それを選択した人間の具体性を実感させる。どこのだれかは知らないが、「やるな、おぬし」というわけだ。ひょろひょろの直球しか投げられない人間ばかりがまかりとおるご時世にあって頼もしいぞ、とシベリア上空で思った次第です。

追記:機内ビデオで「告白」を観た。期待していなかったが、非常に面白かった。重層的な筋立ては原作のせいかもしれないが、映画でこれだけ作り込むことは容易ではない。松たか子もよかった。
 悪意と善意の二元論の無効化。応報刑を脱却することの困難さ。学校教育に内在する偽善に対するパロディー・・・などなど。地上では選択しない作品との出会いも、空中ならではの楽しみ。