中台接近報道に驚き

 前回のブログで、台湾で並んで売られていた蒋介石毛沢東のキャラクターグッズに驚いた話を書いたが、その翌日の新聞に同様の記事が掲載されていて、偶然のタイミングに驚いた。

 記事は、150体もの蒋介石の像が並ぶ台湾の慈湖紀念彫像公園に、大陸から中国人観光客が殺到しているという内容で、蒋介石人形の写真が載っていた。

(この公園は)中国からの団体観光ツアーのシア所の訪問地として定着している。中台を分裂させた「旧敵」であっても、蒋介石像との記念撮影はツアーのメニューに欠かせない。皆、屈託のない笑顔だ。


中国では最近、蒋介石に関する著作が相次いで出版された。中台関係の改善や、「一つの中国」を堅持した蒋が台湾独立を恐れる中国側にとって好ましい存在になったことも背景にあるのだろう。中国では蒋の再評価が始まったといえる。


だが、台湾での評価は今も揺れている。「有能なテクノクラートの登用で台湾繁栄の礎を築いた」と称賛する声もあれば、「大陸反攻を目指し、強烈な反共主義者として住民を弾圧した」という見方もある。(蒋介石政権による反体制派粛清で)処刑された人は数千〜数万人、無実の罪で投獄された人は数万〜数十万人ともいわれる。


「2010年9月17日付け、読売新聞夕刊」