W杯とステレオタイプ

サッカー日本代表コートジボワール戦(4日)に関して、興味深い記事があった。

 試合後の記者会見。コートジボワールの監督は、チームの良さを「規律。組織を維持できた」と答えた。一方、岡田監督は、「コートジボアールは日所運時身体能力と技術が高い」と語った。

 コートジボアールの強さは組織なのか個人なのか。

 大久保(神戸)は、こう言っている。「焦って球をキープできなかった。こういう相手だと(体のぶつかり合いで)つぶされると一人ひとりが思っていたから」。実際に相手の身体能力が勝っているかより、そう思い込むことで自らの動きを鈍らせたのだ。

 「守りのイタリア」、「あきらめないドイツ」という表現がある。「組織力の日本」も同じ。ステレオタイプだ。それが自らにも相手にも、プラスにもマイナスにも、勝負の心理面に影響する。


 ステレオタイプとは少し話が違うが、相手の長所を弱点に転化するコメントも面白かった。

 大久保は「相手の体が強いから、思い切り当たっても倒れずに反則にもならない。それを利用してこちらから体を強くぶつけて球をキープすればよい」と話した。強みと弱みを逆転させる発想だ。

 6月8日付け朝日新聞朝刊


 それにしても、W杯が一向に盛り上がらない。W杯参加国で開幕直前のこの時期、サッカーよりも政局の方に大衆の関心が高い国は日本だけだろう。

 「もはや参加するだけではニュースではなくなった」としてサッカー文化ワンランクアップの証とみるのか、「勝敗しか関心のないサッカーファンが大多数なのでチームが弱いと見向きもしない」としてサッカーファンの未成熟とみるのか。

 まあ、後者でしょうね。