圧巻、必見、若冲大展示

時々、「書けない発作」が起きる。

ブログ用の記事を書こうとすると、頭の芯のあたりでブレーキがかかる。「嘔吐」のマロニエや、太宰の「トカトントン」のような鮮明な意味剥離ではない。もうすこし鈍い何か。

ともあれ、少し回復してきたので、アート関連あたりからボチボチ再開します。

 美術展では、「鴻池朋子展」が面白く、刺激的だった。表現だけではなく、伝達しようという意志がはっきり伝わってくる展示だった。これと比較して、同時期に品川の原美術館でやっていた現代アート展は、コンセプトがバラバラで展覧会としての体をなしておらず、現代アートの弱点がよくわかる反面教師的なイベントだった。

 一押しは、「皇室の名宝展」での伊藤若冲動植綵絵」全30作の一括展示。
時々、このシリーズは小出しに展示されることはあるが、全作品が一堂に、しかも、東京国立博物館の巨大な一室をこの若冲だけで独占させるぜいたくな試み。文字通りの圧巻、圧倒された。

 辻惟雄が「奇想の系譜」で「異端の絵師」として取り上げてから40年。若冲は、天皇在位20周年記念の宮内庁主催の御物展示で、堂々たる主役をはるまでになった。この間、若冲はただ死んでいただけ。彼をとりまく評価、人気だけ大変化した。

 江戸時代のアマチュアの絵描きが、なぜ、これほどの衝撃力を持っているのか。書きたいことが山ほどあるが、「書けない発作」の病み上がりにとって、あまりに力むのは体に毒。とりあえず本日は、まだ見てない人のためにご紹介でした。
若冲の展示は11月3日まで。これから入場者殺到は確実なので、早めに、かつ、夕方が狙い目ですぞ。