みんな、つかれている

みんな みんな つかれている

しつ走する車中で ときに
口笛を吹くものあり

片眼にてみやれば 色ぐろき
かつたいびとなり

みんな ねむっている
けだものの おなかの なかの
とろけてゆく ひとの
ゆるされて みんな
ひろうの 美しさに ねむる

この自由 耐え
ひとはまた 拘束の美しさに帰る と…


「深夜の合唱 せめて美しき拘束を」(「歩行者の祈りの唄」山本太郎)から。

戦後間もない時期の夜行列車を舞台にした詩だと思うが、なにやら疲れたサラリーマンを乗せた終電の車内を連想してしまう。
 
 けだもののおなか、とろけていく、ひろうの美しさ、拘束の美しさ…